つばさよつばさ 浅田次郎

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執筆 : kitora 

浅田次郎がJALの機内誌に連載したエッセイの単行本化。 なぜ「函館」本か?というと、同氏がなんと「函館の夜景」+「函館競馬」の大ファンで、そのために一章を割いているから。

 

つばさよつばさ
浅田次郎
小学館
2007.10
本の紹介@BK1


 ご存知「鉄道員(ぽっぽや)」で数多の男女を泣かせた当代きって(とは私の評)のものかき名手、浅田次郎氏の最新刊。「つばさ」とは翼のこと。4年間にわたってJALの機内誌Skywardに連載した同名のエッセイが単行本になったのである。

「旅行作家にあこがれて」いたという浅田氏が各回約2,000字で書き下ろしたエッセイは全部で40編。範囲も台北、エジプト、ノルマンディ、ラスベガスまで世界を縦横に。どの文章にもなにかしら光るものが宿っていて飽きない。

このブログの筆者のお目当ては「函館の夜景」なのだが、「夜の竪琴」と題したエッセイは



一年に2度函館へ行く


という短い、硬質な、しかし期待をもたせる言葉で始まる。以下こんな具合だ。



初めて函館の夜景を見たとき、私はおのれの愚かしさにもきづいた。いわゆる三大夜景のうち、香港もナポリもすでに見ていたのに40を過ぎるまで函館の夜景を知らなかったのである。・・・

世界通の日本知らずが多くなった。いまや地球上のどの国にも例を見ない、国民的矛盾と言えるで
あろう。・・・

もっともこの矛盾の説明は簡単である。国内を旅するよりも海外のほうが安上がりなのである。具体
的には、「思い立って函館の夜景を見たい」と出かければ、航空運賃に湯の川温泉の宿代、朝市の海鮮丼におみやげを買おうとすると、驚くなかれ、「アメリカ西海岸4泊6日グランドキャニオンツアー付」よりも高くなってしまう場合もある。・・・

函館山で抱いた思いがけない感慨が、望郷の思いに姿を変え、長い小説(壬生義士伝)になった。ふ
るさとはかくも美しいものだよと函館の夜の竪琴(注:浅田氏は函館の夜景を群青色の古代の壁に立てかけられた螺鈿の竪琴に例えている)が、忘れかけた調べにのせて私に諭し聞かせてくれたような気がする。

                                                                        

残念なことに函館をPRしてくれる、こうした有名人発の影響力のある情報を最大限活用するという意欲と技をもつ組織も人材もこの街には希薄なようだ。(深刻な自戒をこめてだが・・・・)

 







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