グレタ号日本通商記

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グレタ号日本通商記
(新異国叢書 第II輯 第3巻)

F.Aリュードルフ

中村 赳 訳、小西 四郎 校訂
1984年刊


1855年の箱館にやってきたドイツ船グレタ号、船長のリュードルフは54年の日米和親条約での開港後1年 という時期の箱館で、日本側の頑固な役人相手に何とか通商の実績を上げようとおおいに努力をする。

日記の箱館部分(全体の1/4程度を占める)を読むと、 当時の函館の街の様子や、一般民衆の生活もよく描写されていて、貴重な記録であることがわかる。 滞在期間は5月13日から6月25時まで40日間。リュードルフはその後、下田に移動、おりからのクリミヤ戦争のあおりで、自らの船が拿捕された結果、当 地に6か月もの長逗留を強いられる。(もちろんこの本には下田日記も所収)

箱館では外国人のあしらいに慣れないこともあり、頑固で杓子定規な役人に比し、民衆は結構友好的であったようで、リュードルフも散歩の途中で普通の民家に上がりこんで茶の接待を受けたりしている。

リュー ドルフはかなり行動的で、函館山登山、大きな寺院の訪問、亀田川を越えてのピクニックなども楽しんで 知る。文中には、彼ら一味が函館山の裏側(穴間か?)でみつけた洞窟の中の仏像をひそかに盗み出す場面も堂々と書かれている。立派な窃盗行為だが、その顛 末をこれだけあけっぴろげに書かれると失笑を禁じえない。

当時としては、ペリー航海記、ハイネの日記(ペリーに随行した画家)に続く3番目の、開港直後の日本の開港場の記録としては非常に早い時期のもの。グレタ号の滞箱中も、英国、米国、仏国などの軍船、商船が次々に入港している様子がうかがわれる。

箱館の150年前の記録として読み返してみるのも面白い。

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