司馬遼太郎・街道をゆくの「函館」

| コメント(0) | トラックバック(0)

 

街道をゆく  15  北海道の諸道

司馬遼太郎

朝日文庫

1985(文庫初版)


司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズは氏の没後も息長く重版を重ねている。該博な歴史知識と観察眼に裏打ちされた独特の語り口で全国津々浦々のみか外国までその足跡が残された。全43巻は氏の逝去により、「濃尾」で終わっている。

さて、函館。

 

司馬の好みから類推すれば、高田屋、土方など氏の小説の舞台としても重要な存在、そもそも書くための材料にもこと欠かないと思える函館。だが、「街道をゆく」での函館は意外に素っ気無い取り上げ方。

函館空港から始まる 15巻は函館に50ページ程度を割くのみで、すぐに話題は松前(40ページ)江差(60ページ)と進み、その先はもう札幌へ飛んでしまう。

函館で取り上げられている題材は

今東光、志海苔、ペリー、湯の川温泉、箱館戦争、高田屋嘉兵衛、ハリストス正教会

司馬好みの素材を満遍なく、過不足のない取り上げ方とも思うのだが、正直やや物足りなさが残る。氏の独特の語り口でもっと縦横に「ハコダテ」を書いてほしかった。

とはいえ、当代一流の書き手による、短いながらも中身の濃いハコダテ記、一読は必須。

なお、最近のカバー写真は空撮の函館山がトリミングされてしまったが、あれは前の版(雪の函館山の全貌)のほうがよかった。

 







トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.hakodate150plus.com/mtos/mt-tb.cgi/50

コメントする

最新記事の写真