逝きし世の面影
渡辺京二
平凡社ライブラリー(ソフトカバー)
2005/9
身分制と貧困に縛られた暗黒の封建時代=江戸時代というイメージをみごとにひっくりかえしてみせてくれる、気鋭の歴史評論家、渡辺京二。1998年に九州の小出版社から初版発行して以来、じわっと売れ続け、2005年には平凡社から軽装版ででることになった。
江戸時代末期から明治初期に日本を訪れた多くの外国人が書き残した日記や記録を精査し、当時の日本が持っていた「豊かな文明」の諸相を描き出した。
なぜ「函館の本」か?それは、収録された多くの記録の中 に少なからざるハコダテに関する記述が混ざっているからである。それらの記述は近代=明治以前の函館が明るく・平和な町であったことを物語っている。
1859年、函館を訪れた英国人ティリーは、函館の印象として、「健康と満足は男女と子供の顔に書いてある」と記した。
イザベラ・バード(英国の女性旅行家)は函館のはしけの船頭たちの穏やかな態度を記録した。
ロシア正教の司祭として函館に滞在したニコライも「日本の民衆は決して隷属的」ではなく、むしろ「自主的で」さえあったと記録した。
英国の初代領事ホジソンは函館の経験から「日本の女性はのびやかで物怖じしない」と述べる。
大部の書物であるが、読後に、江戸時代への偏見が取り払われるような爽快感を得ることは必定。

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