トネ・ミルンから函館の「女の強さ」を考える

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女の海溝 トネ・ミルンの青春

森本 貞子

文芸春秋社

1981年


後に地質学者ミルンの妻となる堀川トネは、函館で真宗大谷派の寺(願乗寺)の娘として生まれた。父親は明治初期の函館を貫通する水路(願乗寺川)を開いた、堀川乗経。

 

明治初期の函館には数多くの外国人が活動していた。英人ブラキストンもその一人。貿易に従事し、木工場を開いた企業家で、動植物 の自然境界線として の津軽海峡に着目し、ブラキストンラインを唱えたことでも知られる。そのブラキストンの縁で、乗経の娘、トネは政府が英国から招いた外人教師、ミルンと結 ばれる。

函館の幕末から明治への激動の歴史を判りやすく織り込みながら、著者のまなざしは「函館のオンナの持つ特有の強さ」に注がれる。

作中で著者は、トネの血筋を受け継ぐ人物にこう語らせる。

 

あの当時の函館の女(ひと)はきかなくなくては生きていけなかったんですよ。気候も風土も厳しい港街・・明治の開拓時代、ましてや函館は外来文化の洪水。強風の吹き荒ぶ港、大火の街、どう考えたってきかなくなりますよ。あの時代の函館の女たちは。

 

 

 

 

日本の地震学の先達、ミルンは地震学会の創立にも奔走。そして、著者、森本貞子も、奇しくも函館生まれ、そして地震学者を夫に持つ。そういう因縁をきかっけに、幕末明治の歴史に深く分け入り、トネの生き方を通して明治の溌剌としたハコダテを同時に描きだした力作。

 

なお、開港150周年にちなんで、この「女の海溝」の朗読会が2月21日に開催された。場所は函館市文学館。残念ながら聴講を逃した。再度の機会があれば是非・・・と思う。







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