2010年4月アーカイブ

 

存在という名のダンス (上・下)

大崎善生

角川書店

2010.1

 

 

不思議な雰囲気の本だ。断然荒っぽく要約すれば、特異な能力をもった少年のスリリングな一人旅の物語。道程は岩見沢から室蘭を経て、最終目的地が函館。

その函館に瀕死の父親がおり、孤児収容施設から脱走した宗太という少年は、施設からの追っ手をかわしつつ、一路徒歩で函館を目指す。(最後は密かにバスに便乗するが)。

ハーメルンの笛吹き男(連れ去られる130人の子供)そしてホロコーストのユダヤ人殺戮、大戦末期のサハリンでのソ連軍の蛮行、などが通奏低音になって、現代の北海道に新たな暴力と悲劇が起こる。

 

函館はあくまでも脱走した少年の「最終目的」地。函館に関する直接の叙述は多くはなく、あくまでも遠くから(特に室蘭方面から遥かに)の目線で描かれることの多い函館。

北海道の中では、本州から渡ってきての「中継点」、あるいは新たな旅立ちの「出発点」として描かれることの多い函館が、道央方面からの「最終目的地」として書かれるという視点が新鮮だ。特に室蘭を過ぎたあたりで噴火湾の向こう側に見えてくる駒ケ岳の姿の叙述は美しく感動的。

著者の大崎善生氏は札幌出身で将棋雑誌の編集長から作家になった人。奥さんは碁士。フィクションもノンフィクションもこなす多彩な作家で、従来は恋愛物が多かったのだが、これは違うジャンルという。

ファンタジー・ホラーともいうべきか、ともかく不思議な本だ。異質な「旅行記」ともいえるかもしれない。たまにはまったく肩の力を抜いて、実利からも遠ざかった読書をしたいという気分には適う本かも知れない。

 

 最近出たビジュアル誌に「箱館戦争」を取り上げたものがあったので購入。

幕末のペリー来航から薩英戦争、馬関(下関)戦争、そして箱館戦争までの4つをテーマに、わかりやすいCG(コンピュタタグラフィックス)を多数載せて解説を加えている。箱館戦争のページでは弁天台場をめぐる箱館港内の本格的海戦の様子や、今年7月オープンの五稜郭の奉行所の再現などがあって興味深い内容。(ちなみに奉行所のCGを見ると今回の復元は往時の1/3の規模の部分復元(縮尺は同じ)であることがよくわかる)

幕末史に興味ある方には必見かも

CG日本史シリーズ

黒船と幕末動乱

双葉社

http://www.futabasha.co.jp

「ご年配の方からは娘や家族のようによく声を掛けられますね。

幼稚園児や小学生にも『テレビの人だ!』とよく言われます(笑)」。

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画面の中と変わらぬ笑顔で楽しそうに語るのは、

函館のケーブルテレビ局NCVのアナウンサー川島美佳さん。

スタジオでカメラに向かうだけでなく、リポーターやカメラマンとしても

函館の街を駆け回り、身近な話題に接する毎日だ。

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