黒船前夜
渡辺京二
洋泉社
2010.2
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(読了後の追記)
随分前に読了していたのだが記事のアップをし損なっていた。遅ればせながらの追記
函館の開港というと1854年のぺりー来航がすぐに想起される。実際に「最後に引き金を引いた」のがアメリカであったことはその通りだが、実はそれ以前から再三の接触がロシアとの間では続いていた。ゴロウニン事件、プチャーチン来函、露艦の対馬占領など多くの場面で、ロシアは当時の日本にとってもっとも手ごわい交渉相手であったし、交渉役として箱館奉行が再三登場もする。実際に最初の樺太の国境画定交渉に日本から派遣されたのは当時の箱館奉行小出秀実であり、彼は五稜郭に新築なった「箱館奉行所」の最初のトップでもあった。
本書では、実は高田屋嘉兵衛が活躍しことで有名なかのゴロウニン事件の解決に際して、日本側で交渉役となった荒井但馬守成章の格別な努力があったことが明らかにされている。実は当時の幕閣内部には、荒井を筆頭にロシアとの通商を認めるべしという意見がかなりあったということも。
歴史にIfは禁物だが、砲艦外交のぺりーに対して、プチャーチンなど、当時は(その後の歴史からは意外にも)融和的な姿勢で通商を求めてきたロシアとの間で先に「開国」がなされていたら、日本のその後の国際外交も、そして、当時ロシアが唯一の領事を置いた函館のその後の歴史も分違ったものになっていたかもしれない。
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発行されたばかりの、渡辺京二の新著。同氏が住む熊本の地方紙に連載されていたものという。内容は蝦夷と呼ばれた江戸期の北海道を舞台に、ロシアとアイヌと日本(和人)という3者が織りなす世界を縦横に論じた、渡辺版「北方史」の集大成。
実は、今日(8日)届いたばかりで、まだ全体の50%までしか読み進んでいない。それでもすでにロシアの東漸と日本への通商要求の経緯、そして松前藩の成立と、対アイヌ政策の実相などに、従来の「北方史の常識」を覆す卓見が数多登場して、飽きさせない。
「逝きし世の面影」【平凡社ライブラリ】で、日本近代の黎明期を外国人の目線を借りて活写した著者が79歳という高齢を感じさせない旺盛な読書と思索を尽くして世に問うた本書。
開港前の箱館も随所に登場するが、この時期についてのまとまった著作が少ない中ではとりわけ貴重。函館を知る上での必読文献になることは間違いない。
「黒船前夜」
「逝きし世の面影」

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