2011年5月アーカイブ

 

世の中には短期観光客向けのガイド本は数多あるが、この本のように、都市全体をあたかも<博物館>に見立てて、その記憶を掘り起こしたエッセイは珍しい。先年スペイン・グラナダに行った直前にに買い求め、第5章の「博物館に住むーグラナダの夢」(アルハンブラ物語の作者アーヴィングを中心に論じたくだり)を読んでいたが、今回あらためて他の章も読み終わった。バルセロナ、ドレスデン、エディンバラなどヨーロッパの都市がたどってきた過去を、その街に絡んだ作家や建築家の眼を通して物語る文章は渋く味わい深い。函館もこうした「物語」が紡げそうな(残念ながらまだない)気がするのだが。


hako00.jpgのサムネール画像

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函館市若松町に店を構える宮田商店の店主・宮田一人さんは

自身の店を「晴れ物屋」と称する。しめ飾り・雛人形・五月人形・

花火・祭り用品といったハレの日の用品の専門店だからだ。

 

miyatak01.jpg年明けからひな祭りまでの期間は華やかな
雛飾りが店内にずらりと並び、ひと足早い春の
雰囲気が漂う。

展示点数の多さではデパートや量販店に
対抗できない分、東京や札幌で行われる
展示会に自ら足を運び、少量生産でカタログに
載らないユニークな商品を仕入れるようにしている。

今年は衣装にスパンコールやスワロフスキー
社製のクリスタルガラスをあしらった雛人形
などを仕入れて店頭に並べた。

「うちは量より質、質より個性で勝負したい。
雛人形のイメージを良い意味で覆すような
商品を取り揃えていきたい」。

展示会ではメーカーが並べたセットをそのまま
仕入れるのではなく、台・屏風・お飾りなど
自らの目で最も良いと思う組み合わせにして
仕入れているため、「店内に並べている中に
は日本で一台しかないセットもあります」。

 札幌で自動車関係の仕事に就いていたが父の入院を機に函館に戻り「何もわからなかったがとりあえず店を開けた」。

店のことは病床の父と長年の取引先が教えてくれた。

その後父は無事退院し店に復帰したが、半年後に交通事故で他界。

これから父と共に働きつつ跡継ぎとしての修行を積んでいこうと考えていた宮田さんに、

突然の悲しみと共に明治28年創業の老舗の5代目としての全責任がのしかかった。

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 ◆衣装にスワロフスキー社製のクリスタルガラスをふんだんにあしらった雛人形。
      宮田さんが展示会で直接仕入れてきた商品のひとつ。

 

 「老舗の暖簾を掲げておきながら、お客様に商品について尋ねられた時に

『わかりません』では済まない。この飾りには、このしきたりにはそれぞれ

どんな意味があるのかなど必死に調べたり母に教わったりした」。

 

跡を継いでから「伝統文化を守る仕事だね」と人に言われるようになり、

あらためて自らの仕事の意義について考えるようになった。

この店がなくなることは、伝統文化を伝える場所や機会が函館からひとつ消えるということ。

女の子が産まれたからただ雛人形を買ってもらうのでなく、雛人形を買うことには

どんな意味があるのかを伝えていくことが自らの役割ではないか――。

 

そう思い至ってからは日本の伝統的風習に込められた真の意味や

先人の思いについて折をとらえて人に話すように努めている。

 

跡を継いでから3年経った今、異業種の勉強会や街のイベントなどに

積極的に参加するように努めている。

「何もしなければ街はつまらないが、自ら情報を求めて様々なことに参加し、

時には主催者側になってみると断然楽しい。

自分が楽しみながらできることをこつこつやっていきたいですね」。

 

宮田一人 みやた かずと
3月30日生まれ
出身地 函館市
好きな言葉 商いは飽きない(亡父の教え)
大切にしているもの 人の意見に左右されない自分自身の軸

宮田商店 函館市若松町30-20(シャロームイン2 隣)


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電話 0138-26-1000
営業時間 9:00~18:00
定休日 5月5日から10月一杯は土日祝。11月から翌年5月4日までは無休。  

※道南読売会函館支部発行の読売新聞折込のミニコミ紙「エガオのハコ」2011年3月号用に私(佐々木康弘)が執筆したものを許可を得て転載しています。

撮影/琴絵

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異星、北天に煌く

北海道ノンフィクション集団・編

北海道出版企画センター

2011年1月


札幌在住のノンフィクションライター、合田一道氏を代表とする道内の作家集団「北海道ノンフィクション:集団」のメンバーの共著による本書は、幕末から昭和にいたる北海道の歴史の中に登場する外国人15人の評伝のアンソロジー。 


 


 

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