2012年6月アーカイブ

描き手の温かな眼差しが伝わってくるような人物画の数々。

描かれている人はどれも意志と希望に満ちあふれた表情をしているように見える。

作品を手掛けたのは、函館市郊外に住む画家・月村朝子さん。函館に住んで間もなく

1年になる月村さんに、これまでの活動と今後の抱負を聞いた。

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1歳にもならない頃からクレヨンを手に何時間も1人で絵を描いていたという月村さん。

絵を続けたいとの思いは成長してもやまず、中学時代に「美術大学に行けば

絵をずっと描いていられる」との情報を耳にしてからは、美術書などを読んで技法を習得。

念願の美術大学に進んだ。

 

プロの画家になるのは簡単なことではないと分かっていたため、

卒業後は働いて得たお金を画材につぎ込み、絵を描き続けてきた。

27歳の時、漫画家のアシスタントとして働いていた経験を活かして描いた漫画が、

権威ある漫画新人賞「ちばてつや賞」で青年部門に入選。

以来、出版社に漫画の持ち込みや投稿を行う漫画家としても活動。

依頼されてイラストや漫画を描くことも増えていった。

 

昨年3月の東日本大震災を機に、生まれ育った横浜での1人暮らしをやめ、

すでに退職して地元の函館に帰っていた両親のもとで暮らすことにした。

「函館に住む前から函館が好きで、函館を題材にした絵を描いていました。

実際に住んでみて都会とは違う光の豊富さや空の広さを感じているので、

これから描く作品は以前とは変わっていくのかなと思っています」

120629ktt02.jpg  撮影/琴絵

人物画を多く手掛けるようになったのは20代後半から。

題材になっているのは自分の好きな人たちなのだという。

「世の中でいろいろな人がそれぞれの生き方をしているのを見ると感動を覚えます。

その時のうれしさやその人へのあこがれなどの感情を最も表現できるものが

自分にとっては絵なんです」。

完成した作品には対象者への自分の思いが詰まっているため、いくらお金を積まれても

売れないものが多いのだとか。

 

「この土地に腰を据えて活動していきたいので、じっくりと時間を掛けて函館を題材にした

絵画作品を描こうと構想を練っているところです」。 

漫画家としては昨年、漫画雑誌の主催する新人賞コンテストにて奨励賞を受賞。

現在、誌面に掲載するための作品づくりに取り組んでおり、画家と漫画家それぞれの活動に

新たな展開が期待される一年になりそうだ。

「モデルを引き受けてくれる人がいて、出来上がった絵を見て喜んでくれる人がいる。

せっかくそんな状況に恵まれているのだから、がんばれるだけがんばろうと思っています。

こうして絵を描いていられることがありがたいです!」

 

月村朝子 つきむら あさこ

7月6日生まれ
出身地 神奈川県横浜市
出身校 武蔵野美術大学
趣味 一人旅
好きな言葉 陰あるところに光あり
大切にしていること 寝ることと食べること 

※道南読売会函館支部発行の読売新聞折込のミニコミ紙「エガオのハコ」2012年3月号用に筆者(佐々木康弘)が執筆したものを許可を得て転載しています。 

音楽とファッションをテーマに、若者たちによって開催されている大規模な

野外イベント「HAKODATE 黒船」。4年目を迎える今年は7月7日に緑の島で開催され、

新しい企画も幾つか追加して家族で楽しめるイベントを目指すという。

主催団体である函館黒船地域活性化協議会で事務局長として実務に当たる

尾山朋幸さんに、黒船の成り立ちや今年の新企画などについて聞いた。

 

120625kto.jpg 撮影/さえる

 

「黒船の中心メンバーのほとんどは、函館がつまらないと感じて一度函館を離れた

若者なんですよ」と尾山さん。「だけど離れてみるとやっぱり函館が好きだという思いに

気付いて」。そんな思いを持つ20代前半の若者たちが集結し、若者のために若者らしく

函館を盛り上げようとクラブイベントを立ち上げたのが約10年前のこと。

 

この時のメンバーが中心となり、2009年の開港150周年記念事業に際して

「黒船実行委員会」を設立。緑の島において音楽とファッションショーをメインとした

「黒船2009」を開催し、10代から20代の若者を中心に1500人を動員して大成功を収めた。

その後、組織を協議会へと衣替えし、年々規模を拡大させながらイベントを継続している。

 

黒船のメンバーは20代から30代前半の若者たちだが、イベントは当初から本物志向だ。

本格的な屋外ライブ用ステージを設営し、雑誌やテレビに登場している著名なモデルや

アーティストを招く。その理由は、イベントを通して若者に少しでも可能性を感じて

もらいたいからだ。

 

「できるはずないとか、どうせ函館でやっても......と言われるのはわかっていたが、

だからこそ仲間が集まればできるんだということを伝えたい。モデルやミュージシャンを

目指す人にも、そのきっかけをつかんで欲しい。いろんな刺激や気付き、普段味わえない

体験などを味わってもらって、函館や道南全体が元気になってもらえたらうれしいですね」。

 

若者に元気や勇気を与えたいと始めた黒船だが、年々客層が広がりつつあり、

幼児を連れた家族や年配者の姿も見られるという。そこで今年は、音楽とファッションに

加えて「食」を大きなテーマのひとつに据え、道南の食材を生かした食べ物を販売して

来場者に楽しんでもらう。また、大門キッズスタジアムの協力により遊具を会場に設置、

子ども向けのコーナーを充実させる考えだ。

 

「若者だけのイベントにするのではなく、家族連れや幅広い年代で楽しめるお祭りに

したい。ほかにもまだまだ楽しい催しを企画中です。ぜひ新しい黒船を見に来てください!」

函館の今年の七夕は、いつもの年とはひと味もふた味も違うものになりそうだ。

 

なお、HAKODATE 黒船2012は現在前売チケット(大人4,800円)を販売中。

購入方法など詳しくはHAKODATE 黒船2012公式サイトにて。

 

尾山朋幸 おやま ともゆき
3月7日生まれ
出身地 函館市
出身校 函館大学付属有斗高等学校
趣味 体を動かすこと
好きな言葉 やればできる!願いは叶う!
大切にしていること 人脈

※道南読売会函館支部発行の読売新聞折込のミニコミ紙「エガオのハコ」2012年6月号用に筆者(佐々木康弘)が執筆したものを許可を得て転載しています。

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北天の星

吉村昭

講談社文庫

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1807年、エトロフ島で勃発したロシア兵の狼藉事件。拉致された日本人のひとり五郎治の波乱・悲惨のシベリアでの抑留生活を描く実録型歴史小説。
後半ではゴロウニン・高田屋嘉兵衛も登場、更には五郎治が持ち帰り松前で始めた日本最初の種痘の話なども盛り込まれる。
史実として取り上げられることの少ない(史料も少ない)この最初の露寇事件をここまでリアルに再現したのは吉村昭ならでは。
松前の矢野旅館には確か五郎治ゆかりの資料展示もあったやに記憶するが、次回の松前訪問時にはぜひ再訪したくなる。

北海道の鳥瞰図

弥永芳子

ナカニシヤ出版

著者弥永芳子さんには2度お会いした。確か93歳と伺ったが、年齢を忘れさせるような明瞭でエネルギッシュな声音で、ご自分が館長を勤める博物館の紹介から精力的な講演活動などを次々にお話になる。話題は最近弥永さん自身が発行した本「北海道の鳥瞰図」に及ぶ。その本は、弥永博物館が収蔵する300枚の古地図から、「大正の広重」=吉田初三郎の鳥瞰図を中心に100枚を納めたものだそうだ。

弥永さんのこの本の中にも、Hakodate150Shopでも扱っている「函館古地図カレンダー」と全くおなじ図(松浦武四郎作の千島一覧)があり、その本の発行から日も浅いときに当方から同じ図柄を大版で複製したカレンダーが届いた「偶然」に驚きかつ嬉しかったという。ちなみに弥永博物館は「古銭と砂金」専門だが永年の収集活動の中で「自然に」古地図も「集まって」しまったという。

さて「北海道の鳥瞰図」は、北海道内(+樺太)だけで103市町村を網羅している。大半は印刷物として発行された横長の折図。
残念ながら本の複製図は元の画像の印刷品質を反映してやや不鮮明で、地名などの読み取りはほぼ無理。函館の鳥瞰図ももちろん掲載、そのほかにも函館を含む渡島半島を題材にした鳥瞰図が4枚(渡島支庁、湯の川、上磯、七飯)が収録されている。いずれも初めて見る図。
大正・昭和初期の北海道各地の姿が眼前に彷彿。貴重な歴史資料でもある。

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