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函館の8つの教育機関の連携(キャンパスコンソーシアム)で実施されている「函館学」の講座。
毎年の講義録がブックレットとして発行されていたが、従来は非売品で入手はちょっと難しかった。
それが今年からは市内の主な書店で購入できるようになった。現在頒布中は2011年の講義からの
6冊。函館を多彩な切り口で語り下ろした新鮮な読みものだ。
各回の講義は約1時間半、ブックレットはA5版40~70ページ

●問い合せ:キャンパスコンソーシアム函館
 電話 0138-44-4211, Mail  info@cc-hakodate.jp   URL  http://www.cc-hakodate.jp

●テーマ
・聖ニコライ来函150周年-幕末・箱館にもたらされたもの-
 山崎 瞳/函館ハリストス正教会
・消費者市民社会・函館-環境や社会にやさしい買い物-
 大橋 美幸/函館大学 准教授
・イカ釣りの歴史と展望-水産業を支える機械技術と情報技術-
 浜出 雄一/(株)東和電機製作所代表取締役社長
 和田雅昭/公立はこだて未来大学 准教授
・函館時代の久生十蘭-新資料紹介を中心に-
 小林 真二/北海道教育大学函館校 准教授
・箱館の音-歴史を彩った箱館の音色さまざま-
 佐々木 茂/函館短期大学 教授
・道南の自然史-とっておきのカニや貝の話-
 五嶋 聖治/北海道大学大学院水産科学研究院 教授

●販売個所
CafeDripDrop(まちせん) 
五稜郭タワー売店 
栄好堂美原店 
カフェまるせん(温泉旅館まるせん)

●販価 各冊400円 (全6冊セット価格 2,000円)

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北天の星

吉村昭

講談社文庫

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1807年、エトロフ島で勃発したロシア兵の狼藉事件。拉致された日本人のひとり五郎治の波乱・悲惨のシベリアでの抑留生活を描く実録型歴史小説。
後半ではゴロウニン・高田屋嘉兵衛も登場、更には五郎治が持ち帰り松前で始めた日本最初の種痘の話なども盛り込まれる。
史実として取り上げられることの少ない(史料も少ない)この最初の露寇事件をここまでリアルに再現したのは吉村昭ならでは。
松前の矢野旅館には確か五郎治ゆかりの資料展示もあったやに記憶するが、次回の松前訪問時にはぜひ再訪したくなる。

冬季間、補修工事などで休館だった旧相馬邸。3月17日から再開しています。
展示物も新企画がありますが、注目はかつて函館にあった出版社・幻洋社の在庫本の
販売を始めたことです。
したの写真は、同社が1991年から99年まで隔月で発行していた函館の街情報を
ふんだんに詰め込んだ小冊子「HAKODADI」。発行された48号のうち若干の欠番
がありますが、それでも43冊と大半が揃っています。

毎号の特集記事をみると

1 レトロ函館銀座通り

3 函館洋館物語

12 函館商売往来 商いの顔は看板にあり

14 わたしの映画館

22 はこだて石碑散歩(西部編)

23 銭湯へ行こう

31 再見「商工函館の魁」

34 函館掃苔録住吉墓地に眠る人々


など、結構現在にも通づる、なかなか面白いテーマが並びます。


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「箱館歴史散歩の会」を主宰する函館の郷土史愛好家・中尾仁彦(とよひこ)さんによる著作。

2010年に自費出版で発行した「箱館はじめて物語」を改訂したもので、

「項目別」だったものを「時系列」に並び替えたのが改訂の大きなポイント。

表紙も美しい写真になり、前作が自費出版だったのに対して改訂版は出版社による

商業出版になっています。

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肝心の中身はと言うと、函館の歴史を高田屋嘉兵衛から時系列に沿って、

幕末、明治、そして昭和へとたくさんの「日本初」や「北海道初」を紹介しつつひもとくもの。

幾つかの項目をご紹介すると・・・

「北海道最初の貨幣鋳造」「北海道最初の書店」「北海道最初の活動映画館」などなど。

 

郷土史に関する多くの本のように堅苦しくなく、文章も平易で誰にでも読みやすい

「入門書」的な内容になっているのが特徴。

さらに、「なぜ函館のお盆は7月なのか」「通夜よりも火葬が先に行われる理由」となど、

函館市民でも「昔からそうだから」としか答えようのない疑問に関しても考察されているなど、

大変興味深い一冊になっています。

 

市民にとっても、また旅行者や全国の「函館ファン」にとっても、より深く函館を知るための

貴重な一冊と言えそうです。

 

新函館ライブラリより、2012年3月に発行。限定2000冊で、函館市内限定で発売中。

四六判(128mm×188mm)208ページ、1冊1000円(税込み)。電子版も発行されています。

書籍の取扱店は以下の通り(2012年3月21日現在、五十音順)。

栄文堂書店
加藤栄好堂七飯本店、美原店、北斗店
カフェダイニングJOE
ギャラリー村岡
旧相馬邸
公立はこだて未来大学生協
小春日和
三省堂川原店
大文堂
TSUTAYA函館鍛治店
函館国際ホテル
函館市地域交流まちづくりセンター内喫茶店DripDrop
函館大学生協
箱館高田屋嘉兵衛資料館
函館元町ホテル
函館山ロープウェイ山麓駅
北文館MEGAドン・キホーテ店、函館駅店
みかづき工房
モーリエ

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2012年版、函館古地図カレンダー。拡大したことで判別できた店名、他の地図から類推できた店の名前を記してみた。

レンカ堂は現在地は別のところに。開文堂(書店)は廃業。辻印刷も別の場所で営業中。

それにしても、栄枯盛衰がビジュアルではっきりわかる。
  
古地図カレンダーは11月15日から販売開始。市内の販売箇所などの情報は



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幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷

高木崇世芝他執筆

発行:INAX出版

発行日:2010.6.15

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幕末の探検家、「北海道」の名付け親、松浦武四郎を特集した本がINAX出版から出ています。この出版社は製陶メーカーINAXの関連会社ですが、PR臭のない、建築・まちづくり系の分野の良書を多数出版しています。

私は、来年の古地図カレンダーに松浦武四郎の「千島一覧」(といっても実際には、北海道に樺太・千島を含む大規模な鳥瞰図)を制作する過程でこの本に遭遇しました。

蝦夷の探検家として有名な武四郎ですが、地図制作や著述でも膨大な仕事を遺しています。「一畳敷」とは彼が自宅の一隅に建てた本当に「一畳」しかない書斉。そこには彼が遍歴した各地で収集した部材が多数使われています。さながら木材の博物館。

この本の、特に注目すべきは、本の装丁です。途中から紙質が変わったり、写真のように大判の紙面が現れたりします。この絵図は、双六仕立ての蝦夷地案内。出発点にはもちろん函館が登場します。

ここまで凝った本造りには昨今なかなかお目にかかりません。蔵書として一冊手許においてい置きたくなる逸品です。





「近代日本キリスト教主義幼稚園の保育と園舎」遺愛幼稚園における幼児教育の展開

永井 理恵子 著者 (学文社)

 

函館元町にある遺愛幼稚園の明治の開設期から昭和前期までの幼稚園史をまとめた本。

100年を超える園舎をいまだ幼稚園として使用している所は全国的にも少なく、またとても贅沢な作りで、保育について考えられ建てている園舎です。

 

 

永井先生が函館に訪れた際、導かれたように遺愛幼稚園の扉をたたき、いままでまとめられていなかった遺愛幼稚園の歴史をまとめて本にしてくれたことは、函館の財産になったと思います。

膨大な史資料が眠っていたそうですよ。

大正時代の写真に写っている恩物机なども幼稚園に残されていて研究者が固唾をのむような資料も!

 

この本を読んで「幼児保育」がいかに大切なこととか、大正時代と同じような教育方法でも

今の子供たちが違和感なく幼稚園を楽しんでいられることなどが伝わります。

歴史っておもしろいなぁと思いますよ。

 

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異星、北天に煌く

北海道ノンフィクション集団・編

北海道出版企画センター

2011年1月


札幌在住のノンフィクションライター、合田一道氏を代表とする道内の作家集団「北海道ノンフィクション:集団」のメンバーの共著による本書は、幕末から昭和にいたる北海道の歴史の中に登場する外国人15人の評伝のアンソロジー。 


 


 

三陸海岸大津波

吉村昭

文春文庫

2004/3

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今回の東北関東大震災に伴う大津波。死者・行方不明2万名を超えるとされる大災害だが、その規模を過去の災害と比較する際によく登場するのが、明治39年の明治三陸大津波と昭和8年の昭和三陸大津波である。前者は死者26,000名、後者は3,000名。吉村昭はこの2度の津波の都度、壊滅状態となった下閉伊郡田老村のことを中心に、この小説(ほとんどノンフィクション)を書き上げた。吉村の解説以外は、全編の大半が津波の記憶をもつ古老からの聞き書きや、当時の罹災者の記録(特に小中生の作文など)に占められているが、それらばまたとてつもなく恐ろしくそして哀しい。

田老村の村民の一人の証言。

沖合いからの異様な音をいぶかしんで海を見ると、海水がすさまじい勢いで干き、700メートルほども海底が露出した。その直後、40メートルほどの高さの黒い波濤が海岸に突進してきて、もやわれていた船や海岸に密集する家屋にのしかかった。

その田老村は、戦後高さ10メートル長さ1,300メートルという大堤防を築き、万全の備えを図った。しかしその大堤防も今回の大津波には勝てず、高波に乗り越えられるとともに決壊。田老村は明治以来3度目の壊滅。著者はすでに鬼籍にあるが、こうした「未曾有の」事態が生じうるという予感があったのか。今回の惨事についての証言が出てくる前に、私たちはまず、この過去の記録を読み返してみるべきか。あまりにも似通った惨劇が繰り返されたことに慄然とする。

なお、この明治39年津波の際、函館も若松・大森・住吉で浸水。海岸から最大80メートル地点まで冠水したと言う。


日露国境交渉史~北方領土返還への道

木村汎

角川選書

2005・10

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日露国境攻守は1854年のロシア使節プチャーチン来日に始まる。その後、樺太だけについても、(1)日露雑居-日露通交条約 (2)ロシア全島領有-樺太千島交換条約 (3)南半分を日本が領有-日露戦争後のポーツマス条約 (4)ソ連による占拠-サンフランシスコ平和条約で日本が領有権放棄

という複雑な経緯をもつ。とはいえ、今日の北方領土返還問題は南千島の4島に絞られ、樺太はほとんど閑却されている。

本書では、日露の国境問題の歴史的経緯を概観した後、ソ連時代からソ連崩壊後を含めて、日本の対ロシア外交を解説している。エリツイン・橋本会談で2島返還の一歩手前までいった瞬間など、歴史の中で幾度となく「決定的」なタイミングがあり、かつそれを日本外交がみすみす逃してきたことも率直に記述される。鳩山、そして前原(外相)の最近の迷走劇まで含めた、増補改訂版がほしくなる。

 

 

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