古地図の最近のブログ記事

北海道の鳥瞰図

弥永芳子

ナカニシヤ出版

著者弥永芳子さんには2度お会いした。確か93歳と伺ったが、年齢を忘れさせるような明瞭でエネルギッシュな声音で、ご自分が館長を勤める博物館の紹介から精力的な講演活動などを次々にお話になる。話題は最近弥永さん自身が発行した本「北海道の鳥瞰図」に及ぶ。その本は、弥永博物館が収蔵する300枚の古地図から、「大正の広重」=吉田初三郎の鳥瞰図を中心に100枚を納めたものだそうだ。

弥永さんのこの本の中にも、Hakodate150Shopでも扱っている「函館古地図カレンダー」と全くおなじ図(松浦武四郎作の千島一覧)があり、その本の発行から日も浅いときに当方から同じ図柄を大版で複製したカレンダーが届いた「偶然」に驚きかつ嬉しかったという。ちなみに弥永博物館は「古銭と砂金」専門だが永年の収集活動の中で「自然に」古地図も「集まって」しまったという。

さて「北海道の鳥瞰図」は、北海道内(+樺太)だけで103市町村を網羅している。大半は印刷物として発行された横長の折図。
残念ながら本の複製図は元の画像の印刷品質を反映してやや不鮮明で、地名などの読み取りはほぼ無理。函館の鳥瞰図ももちろん掲載、そのほかにも函館を含む渡島半島を題材にした鳥瞰図が4枚(渡島支庁、湯の川、上磯、七飯)が収録されている。いずれも初めて見る図。
大正・昭和初期の北海道各地の姿が眼前に彷彿。貴重な歴史資料でもある。

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今回のカレンダーでひときわ異彩を放つのは蝦夷島全図。一見して北海道を描いたとわかる人はかなりの地図マニア。
最下部に描かれる下北・津軽の両半島(かなり歪んでいるが)とその少し上の「箱館」の文字でやっと、これが現在の北海道地図だとわかる。
今回、この図を強く推奨したK教授は、その奇怪な輪郭線と鮮やかな彩色に惹かれたという。

しかし仔細にみていくと、海岸線に沿って書かれる岬や湾はかなり正確で、びっしり記入された地名も同じく詳細にして正確。さらに主な山の位置・名前もかなり的確だ。

江戸時代後半(1800年代前半)まだ内陸の道路の開削が進んでいなかった当時にあっては、交通手段はほぼ沿岸の舟運。そういう時代航路しかなかった当時の蝦夷では、この程度の図面で実務上は支障がなかったのであろう。要は次の寄港地と目印になる半島や遠望する山が特定できれば足りたということだ。

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                       函(箱)館付近の拡大図。エサン、汐首岬、亀田などの地名も見える

古地図カレンダーは ハコダテ150ショップ(ネット)でも販売中です。
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2012年版、函館古地図カレンダー。拡大したことで判別できた店名、他の地図から類推できた店の名前を記してみた。

レンカ堂は現在地は別のところに。開文堂(書店)は廃業。辻印刷も別の場所で営業中。

それにしても、栄枯盛衰がビジュアルではっきりわかる。
  
古地図カレンダーは11月15日から販売開始。市内の販売箇所などの情報は



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幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷

高木崇世芝他執筆

発行:INAX出版

発行日:2010.6.15

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幕末の探検家、「北海道」の名付け親、松浦武四郎を特集した本がINAX出版から出ています。この出版社は製陶メーカーINAXの関連会社ですが、PR臭のない、建築・まちづくり系の分野の良書を多数出版しています。

私は、来年の古地図カレンダーに松浦武四郎の「千島一覧」(といっても実際には、北海道に樺太・千島を含む大規模な鳥瞰図)を制作する過程でこの本に遭遇しました。

蝦夷の探検家として有名な武四郎ですが、地図制作や著述でも膨大な仕事を遺しています。「一畳敷」とは彼が自宅の一隅に建てた本当に「一畳」しかない書斉。そこには彼が遍歴した各地で収集した部材が多数使われています。さながら木材の博物館。

この本の、特に注目すべきは、本の装丁です。途中から紙質が変わったり、写真のように大判の紙面が現れたりします。この絵図は、双六仕立ての蝦夷地案内。出発点にはもちろん函館が登場します。

ここまで凝った本造りには昨今なかなかお目にかかりません。蔵書として一冊手許においてい置きたくなる逸品です。





 前回に続いてペリーの海図を仔細に眺めていきます。この海図はペリーの第2回目の日本訪問(1854年)の際に、横浜で日米和親条約を締約したペリーが、条約で開港場とされた箱館を早速に検分に訪れ、約3週間の滞在中という短期間の調査の結果作成されました。2年後、ペリーは米国議会に対して大部の報告書を提出しますが、その中にはこの海図をはじめ日本各地の10数枚の精密な海図が付録として挟み込まれていました。

 

2011calendar07-09.jpgのサムネール画像



7-9月のぺりー海図をZoomInしてみる。
まず、全体の図面から5点のポイントを選ぶ。
①函館港の中央部分、②現在の船見町、外人墓地のあたり、③現在の西ふ頭付近、そして④日の出町付近、⑤亀田町付近

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