フルオーケストラで伴奏されるものとしては、函館で14年ぶりとなる、第九演奏会が、3月7日 函館市芸術ホールで開催される。「第九」とは、ご存じ、ベートーヴェン作曲交響曲第九番「歓喜の歌」のこと。年末になると恒例行事のように、各地で繰り返し演奏される、大合唱と4人の独奏歌手を伴う、演奏時間1時間を超える壮大な交響曲である。
函館では、1986年9月に山田一雄指揮日本フィルが演奏し、以降、何度も演奏されていたが、1995年12月17日に函館市民オーケストラと市内亀田中の生徒らにより演奏されたのを最後に、演奏されていなかった。
オーケストラで演奏する人にとって第九は、是非演奏してみたいあこがれの曲の1つ。また、合唱の人にとっても、第九は格別な曲である。以前より、「また函館で第九をやりたい」という声は、函館在住の音楽関係者の間でささやかれており、実際に数年前には、市内某オーケストラの選曲会議で僅差で負けたという噂も聞く。1995年当時、亀田中で歌っていた生徒の中には音大に進み立派な声楽家となって再び函館に戻ってきた人もおり、あるいは函館開港150周年記念にからめて実現できないかというアイディアも出て、ここ数年、函館での第九演奏会の実現に向けての声が大きくなってきていた。しかし、第九はオーケストラも合唱も難易度が高く、またソリストを呼んだり練習場を確保するための費用もかさみ、実現するには、さまざまな現実的な問題があった。
その中で突破口を開いたのが、公民館マチネだった。公民館マチネとは、青柳町にある「函館市公民館」の保存・利活用を推進する市民団体「函館市公民館活性化ネットワーク(イキ!ネット)」が開催している音楽会である。イキ!ネットは、今は老朽化等で利用頻度が低くなっている市公民館で、本格的な音楽会を定期的に開催することによって、今一度、市公民館に市民の目を向けてもらい、末永く利活用できるように必要な整備改修される機運を盛り上げたいと、市内外の一流の演奏家の協力を得て、2007年2月から、数ヶ月ごとに、低価格で高品質の音楽を提供し続けてきていた。公民館マチネが第九回を迎えた2008年12月の演目として、市内音楽家の中で話題になっていた第九を、自分たちのできる形で実現したいと考え、ピアノ連弾の伴奏で第九の四楽章を演奏した。これが、1995年12月以来、13年ぶりの函館の第九であった。
来る3月7日に開催される第九演奏会は、函館市芸術ホール管弦楽団(芸ホオケ)の第20回記念演奏会として開催されるものである。函館市芸術ホール管弦楽団は、財団法人函館市文化・スポーツ振興財団が主催し、函館出身のヴァイオリン奏者で札幌交響楽団に所属する石原ゆかりさんなどが、函館のアマチュア弦楽器奏者を指導し、函館の音楽文化の底上げを図ることを目的とした「弦楽クリニック」の成果発表の場として発足した管弦楽団である。永年の「弦楽クリニック」の成果が実を結び、また、ここ数年は、札幌交響楽団のヴィオラ副首席奏者の遠藤幸男さんが、多忙なスケジュールの中、夜行バスなどで函館に通って指導し、弦楽器メンバーの腕の向上には目を見張るものがある。一方、芸ホオケの管楽器奏者は弦楽器クリニックの成果発表を助けることを目的に、音楽大学出身者やコンクール受賞歴のあるアマチュアなどを核に集められた実力派メンバーで構成されている。
芸ホオケの20回記念演奏会の選曲時期に、函館での第九の現状や、公民館マチネで第九を開催したこと、楽団員も第九をやりたがっていることなどが、市文化スポーツ振興財団や遠藤さんの耳にも入り、記念演奏会としてふさわしい演目でもあることから、第九に挑戦することになった。
ソリストには、この1月に北海道二期会でメリーウィドウの主役を歌い大好評を博したソプラノ 佐藤朋子さん。1986年開催の日フィルの第九以来幾度となく函館での第九に出演し、また、函館市民オペラ「カルメン」のタイトルロールで定評を築いた実力派のソプラノ 石丸典子さん。札幌出身で二期会会員、昨年の札響の第九も歌ったテノールの鈴木准さん、藤原歌劇団団員で東京で数々の第九のソリストを務めているバリトンの豊島雄一さん、と超大物揃い。合唱団は、約100名模ではあるが、公民館マチネでの第九を歌ったメンバーなど、市内合唱団の中でも実力がある人が集められている。弦楽器には各パートに札幌交響楽団員も加わる。
週2回の練習日には、メンバーが夜遅くまで熱心に合奏練習を行っている。遠藤先生が函館に来ない練習日には、コンサートマスターの渡邉拓也さんの指導のもと、団員が自主的に、楽曲の細部にわたる綿密な調整を行っている。
演奏会は3月7日(日)15時開演。会場は函館市芸術ホール。入場料は一般2000円、ペア券3000円、学生1000円。全席自由。当日券も同額であるが売り切れも想定されるので、あらかじめチケットの購入をと呼びかけている。チケットは函館市芸術ホール、函館市民会館他で発売中。
問い合わせは、函館市芸術ホール 0138-55-3521

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