旧函館市立図書館の今

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11月13日、「函館の図書館と歩む会」主催の「旧市立函館図書館本館見学会」が行われ、

集まった会員や市民約30名に、内部が公開されました。

2005年に五稜郭の中央図書館にバトンタッチして閉じられてから、

一般の人が入ることのなかった場所に、タイムスリップしたようなひととき。

建築的にも興味深い、内部の様子をお伝えしましょう。

 

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この図書館は函館公園の一角にあり、大正から昭和初期に建設されたもの。

鉄筋コンクリート造りの本館棟は昭和2年の完成で、正面玄関を中心とした左右対称形ですが、

向かって右側に閲覧室が増築されています(昭和38年)。

 

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後方には、大正4年に建てられた鉄筋コンクリート5階建ての書庫棟。

本館棟とは渡り廊下でつながっています。

昭和9年の大火にも耐え、貴重な資料が守られたという、機能的にもすぐれた建物です。

 

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正面から左右の階段を上がって入るポーチ部分。2階に見えますが、ここが1階です。

入口では、帆船やブーケの美しいステンドグラスが迎えてくれます。

 

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ポーチの下にあるグランドフロア(本当は地下1階)には、子ども図書室と集会室。

小さな子が公園から駆け込んでくるのが目に浮かびます。

参加者からも、「読み聞かせの会によく来たものよね」と懐かしむ声。

 

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1階移動書架室。郷土資料係の看板もありました。

天井大梁の両端が曲線を描いているのが優雅な雰囲気です。

 

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廊下・階段の床は人造石の研ぎ出し、腰壁は木製の鏡板張り。

木製の手すりも、使いこまれていい味を出しています。

 

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手すり柵にオシャレなワンポイント。

ただ、元気な子どもたちの目には入っていなかったかもしれませんね。

 

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2階開架貸出室。アーチ状の梁と、漆喰仕上げの天井が美しい。

左手にカウンターがあって、書庫の本を出してもらうようになっています。

 

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書庫棟との連結部分。

この奥は、当時も職員以外は入れない場所で、初公開だそう。

 

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当たり前ですが、空っぽの書庫。

1~5階まで同じ造りで、木製の本棚がずらりと並んでいます。

人の手が届く高さに抑えられているので、天井が低いのが特徴。

 

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書庫棟にはエレベーター用の吹き抜けはありますが、諸般の事情でエレベーター自体はなく、

係の人がリクエストのあった本をかかえて階段を上り下りしていたそうです。

裏方さんは大変だったのですね。

 

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今回見学した中で、いちばん驚いたのが3階にあたる書庫スペース。

ここは、元々本館棟の屋上だったところで、陸屋根の上に木造で増設されたものなのです。

雨水が左右に流れるように、床(元屋上)に少し傾斜があります。

構造の小屋組材と本棚が一体となって、立ち並んでいるのがユニーク。

まるで屋根裏部屋の雰囲気です。

 

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もうひとつ、驚きの声が上がっていたのが、梁川剛一作の彫像。

護国神社坂の高田屋嘉兵衛像を制作した函館出身の彫刻家による、

東京美術学校在学中の昭和2年作の「審判」と思われます。

 

「函館の図書館と歩む会」では、

「函館の将来の文化に役立つ建造物としての活用を願い、今回の見学会を実施した」とのこと。

活用検討懇話会として、保存・活用に関する提言書を今年3月、函館市に提出したそうです。

郷土函館を愛する市民の力で作られたという背景をもつ、この図書館。

再び眠りから覚めて、市民の学びと安らぎの場に生まれ変わる日がくることを願います。

 







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コメント(2)

いつもブログにコメントさせていただいています旅人です。
今日はとても貴重な写真を拝見させていただきありがとうございました。
私は図書館司書をしており、函館の図書館の成り立ちにはとても興味がありました。(今は中央図書館が民間委託となっていることがとても残念です。)
児童室のスチールの書架は使用に耐えるものではないと思いますが、書庫の木製書架はまだまだ使えそうですね。3階の書庫には驚きましたが、きっと蔵書が増えて苦肉の策だったのでしょう。
昔の図書館は閉架方式が多く、利用者が自由に本を手にすることができませんでしたからこれだけ立派な書庫が必要だったのでしょう。
このまま物置状態にしておくのはとてももったいないですね。構造上ハンディキャップのある方には使いにくい建物ですが、是非中央図書館の分館として活用していただきたいです。
もし、図書館として使用しないとしても函館フィルムコミッションに登録すれば、ロケなどに活用することもできると思います。

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