「海炭市叙景」トキさんの町を歩く

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映画「海炭市叙景」で、プロの役者以上の存在感ある演技をみせた、トキさんが劇中で住んでいた街を歩いてみた。

そこには、建物が死に絶えるのを待っているかのような荒涼とした風景が広がっていた。そして、まるで映画の中に自分が紛れ込んだ錯覚を覚えるような切なさを感じた。

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国道5号線を万代町から昭和方面に向かうと、トキさんの町はある。そこはまるで大きな工場が解体され、空地になったにも拘らず、その後に誰もが再利用を放棄したような、空虚な静けさが漂っている。

表札が剥がされた門の向こうには、過去の栄華の面影を感じさせる広い土地に、足跡もない雪が積もっていた。そして、家財道具が片付けられていない廃屋が奥に見える。煙突は曲り、窓ガラスは割れている。

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板張り家には、扉を封鎖するための板が張り巡らされている。建物の呼吸はそこで止まっていた。寒風だけが入り込み、人と光は拒絶されている。

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廃屋の中には、20年も放置され、屋根が崩れ、家屋内に樹木が育っているものもある。皮肉なことに、この廃屋を占領している木々の中のひとつの藤は、季節になると見事にきれいな華を咲かせるという。

この一帯は、函館の外れではない。街の中にありながら、時代の移ろいを拒否したかのような空間だ。そして、ここも函館だ。函館の一面を象徴する地域である。

映画「海炭市叙景」は、本町22-11 シネマ アイリス (0138-31-6761) で上映中です。

*プライバシー保護のため、劇中で使用された建物の写真、地域の所在地は公開しませんでした。ご了承ください。







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